貧乏リーマン、ケチる

可処分所得が低いなら支出を減らせばいいじゃない、という趣旨で日々の雑記を綴ります

地域によって住民税の金額が異なるという誤解とその理由

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会社の後輩が、「いま住んでいる場所(県)の住民税が高いから、別のところに引っ越しする」と言いだした。私は漠然と「住んでいる場所で住民サービスは異なるが、住民税自体はほぼ変わらなかったはず」と思ったが、正確に数字を言えなかったのでそれ以上何も言えなかった

そこで少し調べてみたので備忘録がてら、それを簡単に纏めてみた。よくある噂として、大企業が多くて税収が多いから住民税が安いとか(豊田市)あるそうだ

住民税とは

住民税は、「均等割」という定額の部分と、「所得割」というよく耳にする10%の部分にわかれている。所得割の10%は知っていたが、均等割という定額部分があったことなんて知らなかった。。。

均等割

wikipediaによると、4,000円と記載があるが、東京都では5,000円、川崎市では5,300円となっているようだ。ちなみに、川崎市が東京都より高いのは、「水源環境保全・再生のための上乗せ分」というのが300円のっかっているためのようである

たしかに数百円程度、「住民税の金額が異なる」というのは事実ではあるが、これをもって住民税が異なるというのは言い過ぎと考える。嘘ではないが、おそらく住民税が異なると主張する人はもっと大きく違うというニュアンスのはずだ

東京都主税局<税目別メニュー><個人住民税>

川崎市:個人の市民税

所得割

wikipediaによると、10%と記載があり、東京都も10%となっている。しかし、川崎市は10.025%となっており、わずかではあるが0.25%高い。この0.25%は均等割の理由と同じく、「水源環境保全・再生のための上乗せ分」というのが0.25%のっかっているためのようである。0.25%というと、仮に住民税が年間で10万円とすると250円。40万円でも1,000円と誤差の範囲といっていい

住民税の結論

数百円~数千円程度の若干の住民税の差はあるものの、地域によって住民税が異なるというのはデマと考えて良さそうだ

さて、住民税が異なるということは、このように少し調べればわかることなのに、なぜこのデマがいまだに信じられているのか? それを少し考えてみたい

思いついたのは下記3点
①住民税が前年度の年収を参照するから
②控除等で住民税が人によって変わるから
③国民健康保険が地域によって異なるから
では1つずつ見ていこう

①住民税が前年度の年収を参照するから

AくんはBくんと今年年収がほぼ同じなのに住民税の金額が違う!これは住んでいるところが違うからだ! という誤解が発生しそうと思った。住民税は前年度の年収で計算されるので、前年度AくんとBくんの年収が違えば、今年度は給料が同じでも住民税に差が出ることは当然なのだが、住民税について正しく理解できていないと、このように住んでる場所によって住民税が異なると勘違いすることもありえるのではないか

②控除等で住民税が人によって変わるから

Cくんは生命保険料控除とふるさと納税をやっていて、Dくんがその2つをやっていなかった場合。年収が同じでも、このような場合では住民税は変わるため、①と同様に住民税について正しく理解できていないと、住んでる場所が違うから、CくんとDくんが年収同じなのに住民税が異なると結論付ける可能性がないとはいえない

③国民健康保険が地域によって異なるから

社会保険である健康保険には、サラリーマン・OLが勤務先の健康保険組合の加入する「組合健康保険」、勤務先に健康保険組合がないサラリーマン・OLが加入する「全国健康保険協会(協会けんぽ)」、自営業者等が加入する「国民健康保険」の3種類がある

このうちの「国民健康保険」が地域によって保険料が異なるのだ
下記サイトによると、年収400万円独身で、保険料が最安で29.2万円、最高で63.7万円と2倍以上も異なる

国民健康保険料 高い自治体(市、区) ランキング

人によっては、所得税・住民税・健康保険・年金といったサラリーマンが「天引きされるもの」をあまり区別していなさそうなので、(特に所得税と住民税がごっちゃになっている人が多い気がする)、健康保険が地域によって異なるのを「地域によって住民税が異なる」と勘違いしちゃったのかなという可能性が高いと思った

対象が健康保険か住民税かで異なるが、たしかに地域によって負担額は違う、という部分は正しい

住民税が地域によって異なるという誤解の理由

住民税は地域によって(ほとんど)差がないので、地域によって差があるというのはデマ
そして、国民健康保険は地域によって差があるので、住民税と国民健康保険とを勘違いして広まった、というのが結論で良さそうだ