貧乏リーマン、ケチる

可処分所得が低いなら支出を減らせばいいじゃない、という趣旨で日々の雑記を綴ります

「第5回 ブラック企業大賞2016ノミネート企業」10社の中から、どれが大賞に相応しいか考えてみた

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ブラック企業大賞2016のノミネート企業10社が公開されたので、それぞれの企業についての所感と、どこが最凶(ブラック大賞)かを考えてみる

「ブラック企業」という言葉は、私が学生時代(およそ10年前)から主にネット上で言われていた言葉で、いつからかそれが一般人もこの言葉を使うようになったのは感慨深い。おそらくスマホが浸透し、ネットというものがオタクだけでなくいわゆる普通の人もごくごく身近になった影響と考える

さて、ここで改めてブラック企業とは何か? まずこの言葉の意味だが、以下の文言が参考になる

2chにおいて、1999年から、実際のブラック現役社員・ブラック脱出者・世間的な噂を吟味に吟味して決められたもの。2chにしては珍しく、真実度が相当に高い。

特に明確な基準はなく、偏差値はおおよその値だが、吟味する人の眼は厳しく、ランク入りするときは皆で情報を集め、充分に吟味してから決められる。自分が落ちた企業へのあてつけ、クビになった企業への当てつけ等でランキング入りした企業は即排除される。よって、ランクに載っている企業は激務・薄給・超高ノルマ・体育会系・社風が異常・暴力・休み無し・異常な回数の転勤・クビ切り等、何らかの異常な体質がある離職率の高い会社である。

なお、『社員』にとって悪い企業であって、『社会』にとって悪い企業のことではない。後者は悪徳企業に分類される。 (2ちゃんねるより)

 この定義にあるように、「ブラック企業」は長労働時間なのに対して給与が安い、残業代がでない等、従業員にとって最悪な企業(企業が労働法を無視)をさす。ブラック企業大賞で違和感を覚えるのは、東電のように社会的に最悪なことをした企業がノミネート入すること。東電は、日本中にあれだけ打撃を与えたので一般人にとって最悪な企業であることには間違いないが、あれだけのことをして会社が潰れておらず、今や賞与も普通に貰えているので(それどころか、ボーナスゼロ宣言をしたのに秘密でボーナスを従業員に渡していた)、従業員にとっては素晴らしい企業といえる。どこがブラックなのか。そして、ぶっちゃけ今回のブラック企業大賞2016もそうだが、電通のように社会的に大ニュースになった企業がノミネートされる傾向が強い。ブラックは、「激務かつ給与安い」が必須と思うので、電通がブラック企業入りするには、平均給与が1/2~1/3にならないとランク入りするのは変だ(何が言いたいかというと、真のブラック企業とは、電通並に激務なうえに、給与が電通の1/3~1/2の企業のことだ、といっている)

さて、まえがきは終わり、今回ノミネートされた下記10社について所感を述べる

1. 株式会社エイジス

ノミネートの理由は、63人の従業員が月100時間を超える残業をさせられた、「違法な長時間労働」だそうだ。う~ん、これだけみると、しょぼい。これが残業代でなかったとしても、インパクトにかける

上場しているので、有価証券報告書から従業員の情報をみてみる。平均年収652万円、平均勤続年数12.9年、平均年齢41.1歳。うん、かなり良いですね。給与所得者全体の平均年収が420万円、平均勤続年数11.9年、平均年齢45.6歳(民間給与実態統計調査より)なので、この株式会社エイジスは、給与所得者全体の1.5倍の年収を貰っていることになる

2chのブラック企業就職偏差値ランキングにも企業名がない

以上から、株式会社エイジスはブラック企業を名乗ることはできません。大賞に選ばれることは確実にないレベル

※もちろん、この月100時間を超える残業がサビ残だったら、クソ企業なのは間違いがないが、如何せん日本にブラック企業があまりに多すぎて、この程度だとブラックにならないという相対的なもの。理想論をいえば、この企業のように違反企業は全てブラックとし10社にわざわざノミネートされる意味がわからない、という意図

2. 株式会社 電通

ノミネートの理由は、大ニュースにもなったが、1人の女性従業員が長時間労働の末に自殺したという「過労自殺」だそうだ。また、この女性従業員のTwitterの書き込みから、上司からパワハラやセクハラも受けていたのではないか?といったものまでのこっていた

電通はもちろん上場しているので、エイジスと同様に、有価証券報告書から従業員の情報をみてみる。平均年収1,229万円、平均勤続年数13.3年、平均年齢39.5歳給与所得者全体の3倍の給与という凄まじさ。3倍働かされてもおかしくないのでは?と思うくらいの年収である。これほどの給与であるのに「ブラック」は違和感ありあり。ここに入社する人も、相当時間、労働する覚悟で入社しているのだろうしねえ。これで給与が1/3~1/2くらいじゃないとブラックと呼ぶには、弱い。平均勤続年数も長く、平均年齢も高いので、従業員は定着しているのもブラックと思えない点である

当然、2chのブラック企業就職偏差値ランキングにも企業名がない

以上から、大ニュースにもなり、電通に入社するくらいの超絶エリートが過労死しちゃうくらい労働させられるのでブラックではあるが、そもそも電通に入社する人は、それをわかったうえで入社するので、ガチブラックと言い切るのも違和感があり、大賞に選ぶべきはもっと別の企業、と考える

3. 株式会社 ドン・キホーテ

ノミネートの理由は、従業員に最長415時間45分もの時間外労働をさせた「違法な長時間労働」だそうだ。ファッ!?これ30日で割ると、1日平均14時間近く時間外労働をさせられたことに・・・。ちょっと待って。30日で720時間しかない。通常勤務が8時間×20日として160時間。そこに時間外労働416時間を足すと、576時間。1ヶ月全時間(睡眠時間や風呂・食事等の時間も含む)のうち8割が労働していることに。。。これがサビ残ならきつい

給与も確認してみよう。有価証券報告書から従業員の情報をみてみる。平均年収660万円、平均勤続年数7.4年、平均年齢36.6歳給与所得者全体の1.5倍の年収。平均年齢の割には年収が高く、しんどいがその分ちゃんと報酬を与えている印象を受ける。株式会社エイジスよりも平均年齢が10歳近く若いのに、年収は同じくらいなので待遇は良いのではないか

小売りはブラックという風潮が2chではあるが、2chのブラック企業就職偏差値ランキングにも企業名がない

以上から、これでブラックなら、平均勤続年数2-3年のブラック企業SEに申し訳なくなるレベルである

4. 株式会社プリントパック

ノミネートの理由は、一言でいえないので、全文引用する

同社は印刷サービスを行う企業である。
2010年3月、入社1カ月半の新入社員(当時26歳)が印刷機に巻き込まれて死亡した。全印総連京都地連によれば、当時会社は、この悲惨な死を業務遅延の理由として「機械の不具合」と発表した。同社では過密労働で離職率も高く、自らも月80時間前後の「過労死ライン」と見られる残業を繰り返していた労働者が、2013年に組合(全印総連ユニオン京・プリントパック京都分会)を結成した。
これに対し会社は、組合員に対して配転を命じ、残業時間の長さを会社への貢献度と査定して組合員に対し昇給差別や夏季・年末一時金などのボーナスを支給しないなどの扱いをした。
同労働組合が京都府労働委員会に救済を申し立てたところ、2016年7月19日、府労委は、同社による労働組合への不当労働行為を認め、賃金や賞与の差額を支払うよう命じた。
なお、同社は、この命令を不服として中央動労委員会へ再審査を申し立てている。(http://blackcorpaward.blogspot.jp/より)

この文章だけ読むと、対外的に「従業員死亡のため」なんて言うのはありえないので、「機械の不具合」と発表するのは別に変とは思わない。それよりも、死亡者が出たこと、労働時間が長いこと、離職率も高いことがポイントだとおもう。また、組合をつくった労働者への扱いが、子供すぎる対応なのでブラック臭がしてくるのもポイント

給与を確認したいが、上場していないため、公式情報がない。仕方ないので情報の信頼度は下がるが、口コミサイトをみてみる。「カイシャの評判」によると、給与が一切上がらない、残業は固定、といった記述がある。残業代は出ない、というコメントの人もおり、残業代が出ない可能性が高い。また、労働時間が長くプライベートがない、という記述をしている人もいた。この労働時間が長いことはノミネート理由にもあったため、信憑性がありそうだ。また本当かどうかわからないが、住宅手当か通勤手当のどちらかしか貰えない、という記述もあり笑った(住宅手当はリクナビによると2万円、通勤手当で受け取る場合も2万円なのだろうか(笑))

2chのブラック企業就職偏差値ランキングにも企業名がない、が検索するとある弁護士さんの記事が引っ掛かった。

給与は基本給が13万5000円、何年経験を積もうが上がりません。こんな会社に何で勤められるの、疑問に思われるかもしれません。労働者が毎月貰う賃金の中にじつは固定残業代が含まれているのです。その額が10万円ほどなので、手当と併せて労働者は毎月何とか20万円ほどの手取りを得ることができます。

neo-city.jp

額面で残業代込23.5万円・・・年収282万円(何年経験を積もうが基本給が上がらない、というのが凄い)。残業代込というが、これは実質全残業時間が、サビ残といっていい。このような企業なら、リクナビでは賞与年2回(3-4回の実績あり)と自信満々に書いていたが、寸志レベルの数万が4回、というのもありえるし、実態はそうではなかろうか。年収300万円未満のワーキングプアの給与だろう。それでいて、死ぬほど(実際死亡者が出ている)働かされている。これはブラックですわ

以上から、ブラックです。上から4社とみてきて、やっとガチブラックに出会えました。これこそ、下手したら電通並に働かされて、その上給与も安いというまさしくブラックのお手本のような企業です。この企業は大賞に相応しい

5. 関西電力株式会社

関西電力がブラック・・・?今すぐ私は転職したいくらいなのだが

ノミネートの理由は、従業員の長時間労働による過労が原因の自殺、いわゆる「過労自殺」だそうだ。人数の多い大企業なら、過労自殺の1例くらいはあるので、この理由自体は弱い

給与も確認してみよう。有価証券報告書から従業員の情報をみてみる。平均年収605万円、平均勤続年数21.7年、平均年齢42.3歳。あれ??こんなに平均年収低かったっけ?? 私が学生時代は電力会社強すぎだったのだが・・・。そう思うと平成24年までは平均年収800万円ほどあったようだ。25年から600万円まで落ちており、勝ち組から一気に普通ゾーンまで落ちた印象をうける。ただ、それでも平均勤続年数が20年超と、安定かつ長く働ける企業ということがわかる。どうせすぐに平均年収も800万まで回復するだろうしね

2chではそもそもインフラ最強説があるし、電力会社は神格化されている。よって、2chのブラック企業就職偏差値ランキングにも企業名があるはずがない

以上から、むしろホワイト寄りの企業のはずなので、ブラックにノミネートの理由が知りたいレベル。過労自殺が1名いたらブラックにノミネートであるなら、ブラックばっかで収集つきまへんわ

6. 佐川急便株式会社

ノミネートの理由は、一言でいえないので、全文引用する

同社は主に運送事業を行う企業である。
2010年3月、佐川急便に入社した男性は、東北支社仙台店(現南東北支店仙台営業所)で経理などを担当。2011年12月にうつ病の診断を受け、同月26日に自宅において制服姿で首をつって自殺。2012年2月、遺族は仙台労基署に労災の申請をしたが、同年12月には不支給処分となる。その後、訴訟が提起された。
2016年10月27日の仙台地裁判決によると、男性は直属の上司から日常的に仕事のミスで注意を受け、自殺する直前にはエアガンで撃たれたり、つばを吐きかけられたりする暴行や嫌がらせを受けていた。SNSにもその旨を投稿、自らのスマートフォンにも「色々頑張ってみたけどやっぱりダメでした。薬を飲んでも、励ましてもらっても、病気の事を訴えても理解してもらえませんでした」と書き残していた。
上司はうつ病になり「退職したい」と訴える男性に「そんなの関係ない。迷惑かけられて大変だった」と残務処理を指示していた。
判決は一連の行為を「社会通念上認められる範囲を逸脱した暴行または嫌がらせ行為」とし、うつ病発症は業務上のものであると認めた。
http://blackcorpaward.blogspot.jp/より)

この上司がたまたまクソだったのか、それとも会社全体がこういう社風なのかが気になるところだが、そこまではわからないのでここでは一旦置いておく

給与も確認してみよう。佐川急便は忙しいが、その分給与は良いとも言われているが、オフィシャル情報は見当たらない。ワタミ渡邉美樹がかつて企業資金を貯めるために佐川急便でセールスドライバーをやっていたようなので、つまり企業資金を貯めるくらいに給与が良かった、という見方もできる(ワタミでは、忙しいうえに給与も低いというガチブラックだが。給与も見習えよ、と)

2chのブラック企業就職偏差値ランキングにも企業名が載っており、ブラック偏差値は74と非常に高い。ただ、この2chでも「ただし高給」と記載があるくらい給与は良いのだろう

以上から、ブラックにノミネートするだけはある企業。株式会社プリントパックとどちらが忙しいかわからないが、忙しいうえに「さらに給与も低い」という株式会社プリントパックには勝てないので、大賞には推せない

7. サトレストランシステムズ株式会社

ノミネートの理由は、従業員に対して長時間労働や残業代の未払いという「違法な長時間労働」だといえそうだ。ただし、約650人の従業員に対する総額4億円あまりの未払賃金を払ったらしく、ブラックらしかぬ行動といえる

給与も確認してみよう。有価証券報告書から従業員の情報をみてみる。平均年収455万円、平均勤続年数10.5年、平均年齢41.2歳給与所得者全体の平均年収とほぼ同じである。ただし、サビ残をさせる風潮がありそうなので、長時間労働の割には給与は低い、という会社だといえそうだ。ただ、このような企業は残念ながらかなり日本にありそうで、ブラックなのかもしれないが、これをあえてブラック企業としてとりあげるほどではないようにおもう

2chのブラック企業就職偏差値ランキングにも企業名がない

以上から、ブラックにノミネートするほどではないし、大賞にも選ばれることはない

8. 宗教法人 仁和寺

ノミネートの理由は、料理長に対して、料理長は管理監督者であるという理由で、時間外手当・休日手当を払っていなかった「違法な長時間労働」だといえそうだ。2011年春頃からの時間外労働がほぼ毎月140時間以上で、多い月では240時間以上、年間の勤務日数が356日(うち349日は連続して出勤)というのが凄まじい

宗教法人のため、給与等含めて全然見つからないのでなんともいえない。

ただし、ノミネート理由からかなり真っ黒のような気がする。時間外手当・休日手当を支払っていてもここまでの長時間労働は凄まじいが、手当てをケチって払っていないので、給与も推して知るべしといった程度しか貰えていないのではないか。よって、大賞になってもおかしくはないが、情報があまりないため、大賞にはならないと考える

9. ディスグランデ介護株式会社(「茶話本舗」FC企業)

ノミネートの理由は、従業員に対して賃金未払いや、休憩を取らせないという「賃金未払い」だといえそうだ。残業代未払いではなく、そもそもの賃金を未払いというのはブラック臭がぷんぷんしますねえ。また、休憩なしというのも凄い。これが「介護」業界か・・・

フランチャイズなのもあって、給与等含めて全然情報が見つからないのでなんともいえない

2chのブラック企業就職偏差値ランキングにも企業名がない

ただし、業界自体がブラックである「介護」であることと、「賃金未払い」ということを考慮すると、確実にブラックでしょう

以上から、ブラックにノミネートされることも理解できるが、大賞になるだけの材料がないのが惜しい

10. 日本郵便株式会社

最後は、元公務員だった郵便局。はたしてブラックなのか?(ブラックになったのか?)

ノミネートの理由は、休職していた従業員が、年賀はがきを受け取るために局に訪れた際に、駐車場に止めた車内で心疾患のため死亡したという「パワハラによる死亡」といえそうだ。遺族は、上司のパワハラのためによるストレスが原因といっているのでこのような理由にしたが、少なくともうつ病で休職扱いにしてもらえるだけでブラックからはほど遠い存在だとおもう

給与も確認してみよう。有価証券報告書から従業員の情報をみてみる。ただし、日本郵便ではなく、日本郵(日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命等の親会社)であることに注意。一般的に子会社である日本郵便は、日本郵政よりも待遇は低いだろう。さて、日本郵政の情報だが、平均年収775万円、平均勤続年数16.4年、平均年齢43.5歳。うん、この情報だけみると優良企業ですわ。ただし、再度記載するが、この年収は「日本郵」であって、「日本郵便」ではないところに注意

2chのブラック企業就職偏差値ランキングにも企業名が載っており、ブラック偏差値は80と一番高い。年末の年賀状ノルマ(下手したら自爆買い取り)もあるらしく、このあたりがブラックと呼ばれる所以なのだろう

以上から、待遇がどの程度かあやしいが、2chブラック偏差値80なので、有志がその辺りの検証(年収が低い等)は済んでる前提と考える。よって、ブラック大賞の候補の一角だといえる

結論

10社について所感を述べたが、ブラック大賞は下記が候補と考える

  • 2. 株式会社 電通
  • 4. 株式会社プリントパック
  • 10. 日本郵便株式会社

個人的に大賞は、エントリナンバー4. 株式会社プリントパックを推す。次に、企業的にも有名であり、またブラック大賞になるだけの器があるエントリナンバー10. 日本郵便株式会社も可能性としてはありえる。ただ、知名度からいって、エントリナンバー2. 株式会社 電通が2016ブラック大賞に輝く可能性が高いだろう