貧乏リーマン、ケチる

可処分所得が低いなら支出を減らせばいいじゃない、という趣旨で日々の雑記を綴ります

総務省がMVNOに通信速度の開示要請をしたが、残念ながら無意味になりそう

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はじめに

格安スマホ、格安SIMの名称で近年急激にユーザーが増加しているMVNO業者は、いまや600社近くある。しかし、通信速度は事業者によってばらつきが大きいため、利用者が通信速度と料金を比べて事業者を選べるようにするため、今回、総務省はMVNO業者に対して、通信速度の開示要請をした。(ソース:格安スマホ、競争透明に 通信速度の開示要請へ 総務省、大手と比べやすく

結論を言うと、「はっきり言って意味がない。通信速度は、格安スマホ研究所さん等が公開している数字を参考にすれば良い」である。

なぜ意味がないのか?

一見、ベストエフォート(理論的に可能な速度)ではなく実効速度(総務省が定めた計測方法に基づいた速度:実際の利用シーンでの速度、ということになっている)での公表となるため、実際の利用シーンでの速度がわかるから、それをもって各社の速度を比較できるから意味がある、ように見える。

だが、

  1. ここでいう「速度」とは、スループットのみである(レイテンシは無視
  2. 計測時間の幅が広い

の2点の理由で、各社の公表データに対した意味はない。

1.の「速度」だが、ネットサーフィンやスマホゲーでの通信程度なら、スループットが50Mbpsだろうが10Mbpsだろうが3Mbps程度だろうが体感で差はほぼない。体感で「遅い」と感じるのは「レイテンシ」による影響が多い。このレイテンシは、簡単に言うと「通信が始まるまでの時間」である。よって「スマホの通信のレスポンス悪いなー」というときは、だいたいこのレイテンシの数字が悪い事が多い。よって、レイテンシを公開せずにスループットだけ公開しても参考になるかどうか、という程度に感じる。

2.の「計測時間の幅」は大きな問題である。そもそも、ドコモ/AU/ソフトバンクと格安SIM(MVNO)の速度差が一番大きいのは、混んでいる時間帯である12時前後である。しかし、この総務省が定めた計測時間は、通信が混雑する時間帯に計測ということにはなっているが、「オフィス街・繁華街メッシュ」であれば正午から午後6時までの時間内、住宅街メッシュ」であれば午後3時から午後9時までの時間内ならOKとなっている。これでは本当に混んでいる時間帯での速度がわからず、これらのデータを元にMVNO業者を契約すると全然思った速度が出ず、後悔することになりそうだ。

少し話は変わるが、ドコモ/AU/ソフトバンクは、既にこの総務省が定めた計測方法に基づいた速度を公表していることを知っているだろうか?(ソース:実効速度計測結果(ドコモ))これを見たらわかるが、全国どこでも100-200Mbps、遅くても30Mbpの速度、ということしかわからない。こんなものを見ても、ベストエフォートと何ら変わらない。そもそも、人によっては、ドコモ/AU/ソフトバンクがこういうデータを公表していることすら知らないのではないだろうか?そして、このデータを知った上で、「ドコモはAUより速度が出るからドコモにする」などという人はいない、と断言する。

この総務省の指示を受け、MVNO事業者は、良い数字が出る時間帯で計測し、一見速度がかなり速いというデータを公表するだけになるだろう。ただでさえ、MVNO事業者によっては、スピードテストの結果だけが良くなるように調整していたりするうえ、そのスピードテストの結果をもって「MVNO速度1位」等と宣伝している現状である。

よって、総務省のこの通信速度の開示要請は意味がない。そして、下手をすれば、この総務省のベンチマークで結果が良い、と宣伝し契約数を増やし、利用者は「思ったより速度が出ない・・・」という事態になりかねない。

では、どうすればいいのか?

格安スマホ研究所さんやスマホ辞典さんの速度比較サイトをみて、利用者それぞれが判断をすれば良い。計測条件は、総務省のベンチマークよりもはるかに厳しく、現状のリアルな数字として非常に参考になる。

おわりに

まとめると、

  • 総務省がMVNO事業者に通信速度の開示要請をしたが意味がない
  • MVNO格安SIMの速度は口コミサイト(格安スマホ研究所さん/スマホ辞典さん)を参考にするのが良い

である。