貧乏リーマン、ケチる

可処分所得が低いなら支出を減らせばいいじゃない、という趣旨で日々の雑記を綴ります

格安スマホで、総務省が本人確認の徹底を要請したので今後もしかしたら手続きが面倒かも

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近年、格安スマホの知名度やシェアは急激に伸びているが、対面ではなくインターネットで契約が完結することから、不正な契約で振り込め詐欺などに悪用される事件が増えているため、本人確認の徹底をするようだ。

今後、格安スマホ(正確にはスマホではなく電話番号の情報が入っている"格安SIM")の契約が少し面倒になりそうということと、落とし所として、今後の格安SIMの本人確認の方法がどうなりそうかについて考察した。

はじめに(総務省要請の発端)

今回、総務省がこのように本人確認の徹底することに決めた発端があると私は考えている。なぜなら、2ヶ月前に、「2015年は、格安スマホ(格安SIM)が特殊詐欺に使われたのは5件だけだったが、2016年は239件になった。50倍にも急増した。本人確認強化を要請する」という警視庁の発表があったからだ。(ソース:特殊詐欺に「格安スマホ」急増50倍 偽造契約が横行 警視庁、事業者に本人確認強化要請

警視庁と総務省で連携し、なおかつ総務省からも今回あらためて要請することで、MVNO事業者に対してよりプレッシャーを与えられると思われる。通信関連は総務省の管轄のため、警視庁と総務省で連携し、対応すること自体は非常に良いと私は思う。

ただ、ツッコミどころとしては、同記事内に、

IT関連調査会社「MM総研」によると、格安スマホ、格安SIMの契約数は平成26年3月には173万回線だったが、大手事業者からの乗り換え需要などで28年3月には539万回線に拡大した。

と記載があり、単純に格安スマホ(格安SIM)の契約件数が増えたから(一般層にまで格安SIMが浸透したから)、特殊詐欺の件数も増えたのでは?と言いたくはなる。

だが、今回の本人確認強化により、詐欺等の犯罪が減ることは良いことだし、デメリットは今後、格安SIMの契約をするときに、面倒になるかもしれないという点くらいだ。これについては、犯罪者をリジェクトしつつ、一般利用者の手間、事業者の手間ができるだけ増えないのが望ましいだろう。

本題(総務省要請の中身)

2016年12月に、警視庁から事業者に本人確認強化を要請し、今回2017年2月に、総務省から業界団体(テレコムサービス協会)に本人確認の徹底を要請した。

要請の中身だが、

総務省は1月6日、テレコムサービス協会に対し、(1)契約担当者への研修実施(2)不正利用が疑われる契約の警察への通報(3)手口に関する情報共有-などを求めた。(ソース:格安スマホ、本人確認を徹底=不正利用急増で要請-総務省

の3点だが、この3点は意味がないのでは?と思う。

格安SIMは店頭ではなく、インターネットで画像アップロードで本人確認が済んでしまうため、店頭に比べて偽造免許証/偽造保険証が使いやすい、これはイカン!というのが今回の趣旨なのに、この3つをやったところで何か変わるとは思えない。(記事では記載がないだけで、別のことを要請している可能性はある)

(1)契約担当者への研修実施

契約担当者は、業務フロー/マニュアルに沿って粛々と本人確認をするだけではないのか?「研修」というが、本人確認という厳格な手続きをする担当者に対して「本人確認の意義」や「偽造免許証の見抜き方」といった研修をするつもりなのか?

仮に、「偽造免許証の見抜き方」を共有する場合、個人の裁量が大きく、人によって見抜ける/見抜けないが大き過ぎやしないだろうか?(この担当者が契約社員等の場合、見抜けなかったことにより、契約更新してもらえない、といったこともありそうだ。もちろん、そんな理由で契約更新しないとなると大問題なので、表向きは別の理由で契約更新ストップをする)

そして、工数もかかるため、これはあまり意味がないように思う。

(2)不正利用が疑われる契約の警察への通報

これは今までもそうしていただろうし、今後もそうするので手間は増えない。また、警視庁や総務省から要請されたので、警察への通報がしやすくなった、というのは効果が大きいと思う(何かあっても110/119に電話するのには抵抗がある人が多いのではないだろうか?)。これ自体は良い案ではある。

(3)手口に関する情報共有

これは(1)に近い。意味はあるとは思うのだが、対面(ドコモ、AU、ソフトバンク)ではなくインターネット(格安SIM)では「偽造免許証/偽造保険証」が使いやすいかどうかがほぼ全てのようなので、手口といっても「偽造免許証の見抜き方」の共有くらいだろうか。

今後の格安SIMの本人確認について(想像)

格安SIMとは少し離れて、クレジットカードをつくるときに本人確認はどうしているのか、をまず考えてみよう。クレジットカードは、そのカードで買い物ができる魔法のカードのため、偽造免許証で契約できると、いわばその与信枠はクレジットカード会社が全て損をしてしまうようなものだ(偽造でクレジットカードが仮に契約できたとして、わざわざそれの支払いをする人はいないため)。そのため、クレジットカードでは本人確認の方法は、しっかりしていると思われる。そして、クレジットカードはわざわざ店頭ではなく、インターネットを通じての契約もできる。つまり、クレジットカードの本人確認と同じくらいであればいいのでは?と思う。

少し前に、Amazonのクレジットカードをつくったのでその時の本人確認の方法を思い出せる範囲で書いてみる。Amazonのクレジットカードは、三井住友カード、つまり銀行系のため、他の流通系や信販系のクレジットカードと若干違う可能性があるが、クレジットカードという属性のため、おそらく本人確認はどこも同じくらいしっかりやっていると思われる。

Amazonのクレジットカードの本人確認は、「免許証等の本人確認書類の画像アップデート」+「銀行の引き落とし口座の設定(オンラインでその場で設定)」の2つが必要だった。前者の免許証等の本人確認書類の画像はたしかに偽造できそうだが、銀行引き落とし口座は偽造するのは難しいだろう。よって、この2点セットでクレジットカードは本人確認をしていた。

よって、今後、格安SIMの本人確認の徹底のためには、クレジットカードと同様に、「免許証等の画像のアップデート」+「銀行の引き落とし口座の設定(オンラインでその場で設定)」の2点セットで確認するようにすれば充分だろう。仮に、これでダメなら、クレジットカードですら問題がある/あったということになる。

なお、余談だがクレジットカードの本人確認のうえで、銀行口座を持っていてもオンライン(三井住友なら、SMBCダイレクト)が使える設定になっていない場合、本人確認書類のコピーを郵送で発送することによって、本人確認をクリアできることになっている。よって、格安SIMの場合でも、銀行口座を持っていてもオンライン(三井住友なら、SMBCダイレクト)が使える設定になっていない人は郵送で本人確認をすることになりそうだ。(郵送で本人確認となると、面倒なうえに、入手までに時間がかかるのがデメリットになりそう)

おまけ:頭の弱い人が今回の発端?

格安SIMで詐欺回線が増えたのには、下記のように、悪徳業者が頭の弱い人(以下、騙され君)から奪ったSIMを詐欺に使ったからでは?と私は思っている。(MVNO悪用か、「荷受代行」「荷物転送」アルバイトで注意喚起

端的にいうと、以下の流れだ。

悪徳業者「荷物転送のバイトする?1回3,000円」
 ↓
騙され君「します」
 ↓
悪徳業者「アルバイトするには運転免許証等の身分証明書が必要」
 ↓
騙され君が身分証明書を悪徳業者に送り、悪徳業者はその身分証明書を使ってスマホ+SIMを契約。スマホ+SIMは、本人確認の目的で、本人確認書類と同じ住所にしか、事業者は発送しないため、スマホ+SIMは騙され君の住所に届く。
 ↓
悪徳業者「○○って会社から届く荷物を転送して(この荷物が上記で契約したスマホ+SIM)。名義は騙され君の名前だけど問題ないから」
 ↓
騙され君「わかりました」
 ↓
こうして騙され君はスマホ+SIMを発送。このスマホが悪用された、という理解

件数は累計では不明だが、この記事によると、4,000件とある。2016年で特殊詐欺に使われたのが239件だそうなので、騙され君の回線の数%が詐欺に使われただけではないだろうか。

今日のポイント:馬鹿のせいで普通の人の利便性が悪くなる

結論

  • 総務省が、格安スマホの契約に際し、本人確認の徹底を要請した
  • 2ヶ月前にも、警視庁が本人確認の徹底を要請している
  • 本人確認が厳しくなり、銀行口座による本人確認、あるいは身分証コピーの郵送が求められることになるかもしれない
  • 元々の発端は、悪徳業者が頭の弱い人から奪ったSIMを詐欺に使ったからかも